クナイプ哲学

クナイプは、人が本来持っている自然の力に着目し、
その力を引き出すために考え出したのが、
水・植物(ハーブ)・運動・栄養・バランス(規則正しい生活)
という5つの柱(要素)でした。

これらの柱(要素)が互いに結びつくことで、
心身にトータルに働きかけるホリスティク(全体論)なアプローチを可能にしました。

5つの柱

Water
水療法
水が健康な人にとって健康と活力を維持するためのすばらしい薬であるなら、それは最も自然であり、最も使用しやすい治療薬でもあります。
(セバスチャン・クナイプ)

5~10℃のドナウ川の冷たい水の中で十分に冷水浴することは、セバスチャン・クナイプが重い肺結核を克服する助けとなりました。このことを通じて彼は、「私にとっての治療薬があるとすればそれは水だろう」という確信を得ました。
当時「水博士」として知られていたクナイプは、その方法をしだいに洗練させ、緩和させていきました。

●治療原理

クナイプの水治療の効果は、穏やかな刺激から強い刺激に至るまでの、刺激による体の自然治癒力の強化に基づいています。水によって生じる冷‐暖の温度作用は、血液循環を活発にし、それにより体の代謝と浄化を促進します。

沐浴から冷水浴、湿布、薬草浴、「灌水」に至るまで、約120にわたる様々な水治療法があります。このうちの多くはとても容易に日課に組み入れることができます。たとえば、朝の熱いシャワーの後に冷水浴を行うだけでも、理想的な刺激剤になります。

特に日中ずっと疲労を感じている人は、クナイプのこの水療法の効果を感じることができるでしょう。腕の冷水浴は体と心を元気にするとともに、極度の精神的疲労にも効果があります。

風邪をひきそうなとき、体温を上昇させる足浴を早期に行うことをお勧めします。頭痛や精神的疲労、肉体的疲労に、セバスチャン・クナイプなら顔浴を勧めたでしょう。おそらく最もよく知られたクナイプ療法は、水中歩行でしょう。1回限りの治療でも水中歩行は体を鍛えます。そして代謝を活発にすることが明らかです。

出典:
Ines Wurm-Fenkel / Doris Fischer
Richtig kneippen(クナイプ療法を正しく行う)
FALKEN出版社、2003年
Plants
植物(ハーブ)療法
自然は、私たちが健康を維持するために必要なあらゆるものを豊富に与えてくれます。
(セバスチャン・クナイプ)

クナイプは創業以来120年以上にわたって、植物(ハーブ)やその治療効果に関して研究を続けています。この中で蓄積された豊富な経験と現代科学の知識に基づいて、常に植物(ハーブ)の力(エッセンシャルオイル)を最大限に活かし、すべての素材を最適なバランスで配合し、最高の商品を作ることを目指しています。

エッセンシャルオイルは、医薬品ばかりでなく栄養補助製品、食品、ボディーケア製品-例えば、お茶、糖衣錠、入浴剤、クリームなど―にも使われています。

植物(ハーブ)について >
Exercise
運動療法
怠惰は体力を低下させ、トレーニングは体を強化し、過度の負担は健康を損なう。
(セバスチャン・クナイプ)

セバスチャン・クナイプの時代の人々は、日中はたいてい厳しい肉体労働に従事していました。そのため晩になるとひたすら疲れて、もう運動をする意欲がありませんでした。

それでもやはり、クナイプの教えでは運動は主要な役割を果たしています。「もし機械が長いこと風雨にさらされて使用されなかったとしたら、やがてそれは動かなくなり、最終的にはもろくなって崩壊し、使用できなくなります。体もまさに同じことが起こるのです。」このようにクナイプは述べ、その著作の中で、たとえば定期的な薪割りや脱穀の作業を指示しています。

19世紀とは異なり、今日では多くの人が座って行う仕事に従事しており、短い距離の移動にさえ車を使用し、余暇はあまり運動せずにテレビの前で過ごすことが多くなりました。そのためクナイプが推奨した体と精神の調和を保つことは、現代の方がより重要な問題になっています。

●運動を日常生活に組み入れる

●運運動は大きな出費も苦労もなく日常生活に組み入れることができます。

・エレベーターではなく階段を使用する。
・たまには車を家に置いて、仕事には自転車で行くか歩いて行く。

日常生活に組み入れやすいこのような行動でさえ、血液循環を活発にし、免疫システムの強化に役立ち、すり減らされたあらゆる神経系に良い影響を与えます。

●軽い運動を定期的に

健康と元気を獲得し、それらを持続的に増進しようとする人は、クナイプの原則、「全てを自分の時間の中で適切な程度まで。」を常に守らなければなりません。

体を酷使して達成されるような最高のパフォーマンスを追い求める必要はないのです。例えば、上腕二頭筋を形成したり、腹筋を引き締めたりすることだけに 役立つフィットネススタジオで行われるような、あまりにも野心的で偏ったトレーニングを行うことを、クナイプはむしろ思いとどまるように忠告するでしょう。

これに対して特に健康に良いのは、水泳、ウォーキング、ジョギング、球技などの持久力を高めるスポーツです。なぜならこれらのスポーツでは体を均等に使うからです。これらは週に2~3回行うのがベストです。

●新鮮な空気の中で十分に運動する

今日ますます多くの人々がシンプルであることを求めています。クナイプの生活スタイルは、自然で、時代を超越したものです。彼のホリスティック(全体論的)な考え方の中に、強さをもたらす穏やかな刺激というものがあります。
例えば、新鮮な空気の中で長時間散歩することがこれに相当します。サイクリングやウォーキングも自然の中での体験を単純で調和的な方法で運動に結びつけます。この場合、年齢や身体条件はほとんど問題になりません。それは誰にでも、どこででもできる運動です。

●重要なのは、それが楽しいということです

厳しい規則や禁止事項はありません。「心に良い作用を及ぼすものが体に悪いとは考えられません。」博愛主義者のセバスチャン・クナイプはこのように述べています。
どんなスポーツでも、自分にそれを強制しなければならないとしたら、その効果はほんの少ししかありません。水泳は確かに健康的ですが、冷たい水を思い浮かべただけで鳥肌が立つとしたら、それが何の役に立つでしょう。それぞれのスポーツが誰にでも同じように適しているわけではありません。それは個人的な条件に非常に左右されるのです。重要なのは、自分の能力を正しく評価し適切な節度を守るとともに、喜びを感じることです。
Nutrition
栄養
(食事療法)
あなたが食べたと感じるとき、すでにあなたは食べ過ぎています。
(セバスチャン・クナイプ)

バランスのとれた食事は、健康的で活動的な生活の基礎になっています。ここで重要なのは、ダイエットや栄養摂取計画ではありません。つまりクナイプ流に食べることは、意識して食べることを意味しています。
しかしそれは禁欲的な食事ではありません。飲食を楽しみ、体調が良いと感じることがここでは最も大切なのです。
クナイプ流に生活することは必ずしもスリムになることではありませんが、それはスリムで体調が良いと感じる体重を獲得し、それを長期間維持するために最も重要な基本です。
クナイプ神父自身も禁欲主義者ではなく、その反対でした。そのホリスティック(全体論的)アプローチに従い、彼にとって重要なのは厳しいダイエットや規則、禁止事項ではなく、栄養のあるできるだけ低脂肪の食品をバランスよく摂取することでした。このことからも、クナイプが賞賛した「簡素で栄養のある食事」は、現代栄養学における今日の認識とも完全に一致しているのです。
現代栄養学が推奨するのは、「植物性食品を多く、動物性食品を少なく」というモットーに従った、多くの果物、野菜、穀類、乳製品などによる栄養満点の混合食です。

●食事の転換が成功をもたらす

健康的な生活をして体調のよさを実感したい人はダイエットをする必要はありませんが、その食事を豊富な運動量と調和する低脂肪のバランスのよい食事に、徐々に転換しなければなりません。

●十分な野菜と果物

新鮮な果物と野菜はお腹をいっぱいにするだけでなく、味も抜群です。これほどカロリーが低く、これほど生物活性成分に富んだ食品はほかにはありません。同時にこれらはビタミン、ミネラル、食物繊維などの供給の点でも非常に優れています。生命にとって重要なこれらの物質の食事による摂取量が少なすぎる人は、適切な栄養補助剤によってそれを補わなければなりません。

●油脂の使用を控えめにし、その品質に配慮する

地中海沿岸の住民がそれを実行しています。彼らは、体に必須脂肪酸と脂溶性ビタミンを供給する栄養価の高い植物油のみを使用しています。それでも原則的には、油脂の使用を控えめにすることが大切です。なぜなら、1グラムの油脂には1グラムの炭水化物あるいは1グラムのタンパク質の2倍のカロリーが含まれています。特に油断ならないのは「隠れた」油脂であり、これらはたとえばポテトチップス、チョコレートだけでなく、ソーセージ、チーズ、脂肪分の多いソースなどにも含まれています。

●全粒製品をよく食べる

白パンから全粒粉パンに切り替えてください!ミュースリ、玄米、キビ、スペルトコムギなども栄養満点の食事のすばらしい構成要素です。これらは精白小麦粉製品よりずっと十分にお腹を満たしてくれると同時に、体に有益な栄養素と食物繊維を供給します。

●動物性食品の摂取を減らす

健康的な食事の範囲内で、ときには肉、ソーセージ、脂肪分の多い乳製品などの摂取を断念しなければなりません。大豆製品や魚は、これらに代わる非常に好ましい食品であると同時に、栄養のあるタンパク質を供給します。特に魚を多く摂ることをお勧めします。

●水分を十分に補給する

1日に少なくとも2リットルの液体、特にミネラルウォーター、ハーブティー、フルーツティーなどを摂取しなければなりません。大量の水分を摂取することは多くの人にとって困難ですが、以下のちょっとした秘訣によってそれを自ら克服することができます。
・炭酸が少ない飲み物や、炭酸が入っていない飲み物を飲む
・ポット1杯のおいしいお茶を目の前のすぐ手の届くところに常に用意しておく

●新鮮食品の日を設ける

お勧めしたいのは、定期的に新鮮食品の日を設けて、その日には果物、野菜、サラダなどの新鮮な食品だけを摂取することです。新鮮な食品はおいしくて、お腹をいっぱいにしてくれるだけでなく、そこには健康を促進する物質が豊富に含まれています。
Balance
バランス
(規則正しい生活)
心を考慮に入れたとき、私は初めて成功しました。
(セバスチャン・クナイプ)

あらゆる行動におけるバランス、それは健康で活動的で満ち足りた生活の基本です。水、植物(ハーブ)、運動そして栄養、これらの要素のひとつひとつは、それ自体が個々に健康と生きる喜びに貢献します。しかしセバスチャン・クナイプによれば、体と心のバランスを保つのはこれら4つの全要素の相互作用です。

クナイプの理念の中心にあるのは、「自分の体に目を向け、まとまった休息時間のあるバランスのとれた生活を送ることにより、体と心の好ましい相互作用が生じる」というホリスティック(全体論的)アプローチです。クナイプの教えはかつてよりむしろ、絶え間ない変化、能率主義による重圧感、情報の氾濫によって特徴づけられるまさにこの時代にこそふさわしいと考えられるのです。すなわち、日課を果たしたい人には、熟考し、リラックスし、新たな活力を補給するために、つまり心と体を再び調和させるために、自分の時間に戻る機会が必要なのです。

スイッチをオフにし、十分にリラックスし、あらゆる意味で楽しむことに定期的に時間をかける人だけが、調和のとれた生活リズムを見つけられます。このリズムをクナイプは100年以上前に「生活秩序の原則」と見なしていました。